インフルエンザとはどんな病気?|インフルエンザについてもっと詳しくなろう!Part1

今世の中はコロナウイルスの第5波が一旦落ち着きを見せていますが、医療機関では冬場の感染症の季節を迎える準備に余念がありません。冬の季節性感染症の代表は何といってもインフルエンザです。

複数回に渡ってインフルエンザ及びインフルエンザワクチンについて詳しく説明していきたいと思います。

今回はインフルエンザの感染力とその種類について掘り下げていきます。

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インフルエンザの感染力

インフルエンザは非常に感染力が強いことが特徴で、毎年全世界では約10億人、日本では約1,000万人がかかる最大の感染症です。これは昨今世の中全体を覆っている新型コロナウイルスの感染者数と比べても、その5倍以上です(コロナウイルスは日本では2年間で約180万人が感染)。

インフルエンザウイルスは、基本的には接触感染飛沫感染により伝染りますが、一部空気感染のような状況(乾いた小さな飛沫により感染)も確認されており、感染者と距離を取っていたとしても短時間同じ空間にいるだけで感染してしまうことがあります。湿度が30%以下になると急激に感染力が増し、50%以上になると失活しますので、自宅やオフィスの加湿が感染予防に重要です。またコロナと同様、高濃度アルコールで殺菌されます。

そんなインフルエンザウイルスですが、昨シーズンは全く流行が見られませんでした。その理由としては、社会全体が手指消毒やソーシャルディスタンスなどの感染管理を徹底していて、インフルエンザウイルスによる人から人への感染が起こらなかったためと想像できます。加えて大きな要因としてはインフルエンザウイルスは輸入感染症と捉えられており、北半球と南半球を季節ごとに行ったり来たりして感染を繰り返しているウイルスですが、昨年は海外からの渡航がほぼ断絶されていたため、インフルエンザウイルスの持ち込みが発生し得なかったと言う理由が考えられています。

一方で今年大流行すると言う説もあります。昨シーズン流行がなかったため、日本人のほとんどが抗体活性を失っている状態で、わずかでもインフルエンザウイルスが世の中に入ってくればたちまちその感染力で抵抗のない多くの人の間で大規模な流行が起こる可能性があります。過去の統計を見ても、インフルエンザの流行がなかった翌年には逆に大流行しているというサイクルが実際に確認されています。

今シーズンインフルエンザが流行するかしないかどちらの説も考えられるのですが、いずれにしても私たち個人、そして社会全体として、流行への備えとしてインフルエンザワクチンを接種する必要があるということには変わりありません。

インフルエンザの種類 A型・B型、HA・NAとは

コロナウイルスでも変異型ウイルスという言葉が知られるようになりましたが、実はインフルエンザウイルスの方が激しく変異を繰り返すことで有名です。インフルエンザウイルスの最大の特徴と言っても良いでしょう。そのためインフルエンザウイルスは何十種類もの変異型が存在し、毎年のようにウイルスが微細な変化を繰り返すため、感染力が増し、ワクチンの効果も安定しないと考えられています。

インフルエンザを大別すると、遺伝子のタイプによりA型B型に分けられます。A型とB型はウイルスの蛋白構造が大きく異なるため、ほぼ別のウイルスといっても良いくらい大きな違いがあります。毎年冬場に大きく流行しているのはA型で、突然変異が激しく感染力が強い特徴があり、私たちが持っているインフルエンザのイメージはほとんどこのA型のものです。一方でB型は遺伝子的に安定しており、変異も少ないためあまり大きな流行は起こしません。冬場以外の季節はずれに発生したり、消化器症状が出たり少し変わった臨床経過となることがあります。

さらにA型のインフルエンザウイルスは、突然変異が激しく種類が多く存在するため、HA・NAといった分類方法で表します。インフルエンザウイルスは事実コロナウィルスと構造がよく似ており、RNAウイルスという遺伝子のタイプも同じです。見た目もよく似ており、コロナウイルスで言うところのとげとげ (スパイク蛋白) のような構造がインフルエンザウイルスの表面にもあり、これをHA(ヘマグルチニン)NA(ノイラミニダーゼ)と呼んでいます。インフルエンザウイルスの正面のとげとげの形の違いにより、現在HAが16種類、NAが9種類に分類され、このHAとNAの組み合わせでA型のインフルエンザウイルスの種類が決まります。例えば、流行するインフルエンザウイルスの株が、H1N1、H3N2などと表現されています。

インフルエンザウイルスは毎年のように変異ウイルスが出現していますが、中でも大変異と呼ばれる大きな突然変異を起こしたものは新型インフルエンザウイルスと呼ばれます。ちょうど新型コロナウイルスと同じようなパンデミック(世界的大流行)が、過去を遡るとおおよそ20年に1回ほど発生しています。最近ですと、2009年に豚インフルエンザ由来とされる大変異により新型インフルエンザウイルスが発生しパンデミックとなりましたが、これはH1N1というタイプのA型インフルエンザウイルスでした。また歴史上最悪の大流行といわれるスペイン風は1918年の第一次世界大戦中に発生し、人類の約2人に1人が感染、1億人以上の死者を出したと記録がありますが、これもH1N1の亜型だったと言われています。現在は、2009年に大流行した新型インフルエンザウイルス(H1N1 pdm09)が12年経った今も毎年流行を繰り返しています。

鳥インフルエンザという言葉のニュースをしばしば耳にすると思いますが、鳥の間で流行しているインフルエンザウイルスが人間に感染を起こすようになったことがあり、その際に感染力と死亡率の高さは他に類を見ないほどで、感染した人の2人に1人は死亡しています。このような理由から、鳥インフルエンザが確認されると突然変異による人への感染を起こさせないように、家禽の一斉処分といった方法がとられています。

次回はインフルエンザワクチンの効果や副反応について説明していきたいと思います。

当院ではインフルエンザの検査は発熱外来で実施しております。

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内藤 祥
医療法人社団クリノヴェイション 理事長
専門は総合診療
離島で唯一の医師として働いた経験を元に2016年に東京ビジネスクリニックを開院。
日本渡航医学会 専門医療職

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