コロナウイルス感染症の経口治療薬、ラゲブリオ®︎とは?

ラゲブリオ®は、どんなお薬?

ラゲブリオ®は、リボヌクレオシドアナログという、RNAに類似した物質によりウイルスRNAの複製にエラーを起こすことでウイルスそのものの増殖を阻害します。飲み方は、1回800㎎(4カプセル)を1日2回5日間服用します。薬剤は室温保存で有効期間は 24 か月とされ、薬の大きさは直径21.7mmとワクチン接種後の副反応に対する解熱剤として使われることの多いカロナール錠500mg(直径15.0mm)よりも大きいです。また、症状発現してから6日以降での有効性は認められておらず、症状発現5日以内に投与します。現在確認されている主な副反応は、下痢(3.1%)・悪心(2.3%)・めまい(1.3%)・頭痛(1.0%)があります。

ラゲブリオ®は、必ず内服できるの?その効果は?

経口抗ウイルス薬は、新型コロナウイルス感染症の患者で重症化リスク因子を有し、医師が必要と判断した方に対して処方されます。つまり、検査で陽性であるからといって全例にラゲブリオ®の処方が可能であるという訳ではありません。特に、動物実験で催奇形性などが認められているため、妊娠している女性又は妊娠している可能性のある女性は服用できません。授乳している方は有益性が危険性を上回る場合に投与します。治療効果ですが、1つ以上の重症化リスク因子をもつ臨床試験では、症状発現から5日以内の患者で試験し、投与開始後29日目までの入院と死亡のリスクが30%減少(中間解析では50%減少)しています。またin vitro(試験管外)での検討においては、コロナウイルスのアルファ株、ベータ株、ガンマ 株、デルタ株、ラムダ株、ミュー株、オミクロン株に対して、野生株と同程度の抗ウイルス活性が認められていることが確認されています。

投与対象:
酸素投与を要しない(軽症・中等症I)の方:18歳以上の方(18歳未満の臨床試験は行われていません)
重症化リスク因子を有する方:61歳以上・活動性の癌・慢性腎臓病・慢性閉塞性肺疾患・肥満(BMI30以上)・重篤な心疾患・糖尿病の方など

https://www.mhlw.go.jp/content/000873667.pdf

最後に、ラゲブリオ®は、2022年1月現在、国内での安定した供給が難しいことから、国が買い上げることでラゲブリオ®による治療を行う医療機関及び対応薬局に無償で提供されます。また、処方した医療機関は定期的なフォローアップとともに市販後調査に協力するよう求められています

参考文献:
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症における経口抗ウイルス薬の医療機関及び薬局への配分について
MSD医療関係者向けサイト「MSD Connect」

吉川 裕章
グランスタ丸の内院長
近畿大学医学部卒業、プライマリ・ケア連合学会
家庭医認定医・指導医
日本内科学会 認定医
日本皮膚科学会

新型コロナコラム一覧へ戻る

コラム一覧へ戻る

トップページへ戻る

関連記事

  1. 抗原検査とは? 定性・定量の違いは何?

  2. コロナ渦の中で今一度自身の健康を見直してみませんか?

  3. 花粉症なの?コロナなの?

  4. オミクロンBA.2とは何?変異株と亜系統はどう違うの?

  5. 抗体検査、IgMとIgGの違いって?

  6. ノババックス社(武田社)製のコロナワクチンについて話をしよう…

カテゴリー

PAGE TOP
Translate »