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【医師監修】男性のHPVワクチン完全ガイド|予約から接種後の副反応まで

内藤Dr.

近年、男性のHPVワクチン接種が注目されていることをご存じでしょうか。HPVワクチンは「子宮頸がん予防」として女性が接種するイメージが強いかもしれませんが、実は男性にとっても、ご自身や大切なパートナーの健康を守るための賢明な選択肢となり得ます。情報が断片的で分かりにくいと感じていたり、費用や副反応について不安を抱えていたりする方も少なくないかもしれません。

この記事では、なぜ今男性のHPVワクチンが重要視されているのかを深掘りし、男性がワクチンを接種するメリット、国内で承認されているワクチンの種類と選び方、費用、具体的な接種の流れ、さらには気になる副反応まで、意思決定に必要な情報を網羅的に解説します。この記事を通して、HPVワクチン接種を前向きに検討し、将来のリスクに備えるための一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。

なぜ今、男性のHPVワクチンが注目されているのか?

HPVワクチンは、これまで主に子宮頸がん予防として女性に推奨されてきました。しかし近年、男性にとってもHPVワクチン接種が重要であるという認識が世界的に広まっています。その背景には、HPVが男性自身のがんの原因にもなるという医学的知見の深化、国際的な予防接種プログラムの動向、そして国内での新たな動きが挙げられます。

まず、HPV(ヒトパピローマウイルス)は、子宮頸がんだけでなく、男性の中咽頭がん、肛門がん、陰茎がんなど、様々ながんの原因となることが明らかになっています。これにより、「自分には関係ない」と考えていた男性も、HPVが男女共通の健康課題であると認識するようになり、ご自身の健康を守るための予防策としてワクチンの重要性が高まっています。

また、海外ではすでに多くの国で、男女双方へのHPVワクチン定期接種が標準化されています。アメリカ、オーストラリア、イギリスといった国々では、男性も公費で接種できるプログラムが導入され、HPV関連疾患の減少に効果を上げています。日本国内でも、一部の自治体で男性への公費助成が始まるなど、社会的な動きが加速しており、男性がHPVワクチンを接種しやすい環境が整いつつあります。

HPVとは?男性が知っておくべきリスク

ヒトパピローマウイルス(HPV)は、多くの人が一度は感染する身近なウイルスです。しかし、このウイルス感染は、男性自身のがんや、大切なパートナーの子宮頸がんといった深刻な病気のリスクにつながる可能性があります。このセクションでは、HPVウイルスがどのようなもので、男性がなぜそのリスクを知っておくべきなのかを詳しく解説します。

HPV(ヒトパピローマウイルス)は身近なウイルス

HPV、すなわちヒトパピローマウイルスは、決して特別なウイルスではありません。性交渉の経験がある方の多くが、一生に一度は感染すると言われるほど身近なウイルスです。多くの場合、感染しても自覚症状がないため、自分が感染していることに気づかないケースがほとんどです。

感染したHPVの約90%は、ご自身の免疫力によって自然に排除されます。しかし、残りの約10%は体内にウイルスが留まり続ける「持続感染」の状態となり、これが数年から数十年かけて、がんなどの病気を引き起こす原因となる可能性があります。この持続感染の状態が、長期的な健康リスクにつながるのです。

HPVには100種類以上の「型」が存在し、それぞれ異なる病気を引き起こす可能性があります。特に、がんの原因となるリスクが高い「ハイリスク型HPV」と、性器や肛門にできるイボ(尖圭コンジローマ)の原因となる「ローリスク型HPV」に大別されます。ワクチン接種は、これらの特定の型のHPV感染を予防することを目指します。

男性がかかるHPV関連のがんや病気

HPV感染は、女性の子宮頸がんの原因としてよく知られていますが、男性においても深刻な健康リスクを引き起こすことが明らかになっています。男性がかかるHPV関連のがんとして特に注意が必要なのは、中咽頭がん、肛門がん、そして陰茎がんです。これらのがんは、HPVの持続感染が原因で発症することが少なくありません。

中咽頭がんは、口の奥、喉の周辺にできるがんで、近年増加傾向にあります。特に欧米では、中咽頭がんの原因の約70%がHPV感染によるものと報告されており、日本でもその関連性が注目されています。肛門がんは比較的まれながんですが、特に男性同性愛者の方やHIV感染者の方では、HPVによる発症リスクが高いことが知られています。また、陰茎がんは、HPV感染によって発症するケースがあり、男性のQOLを著しく低下させる可能性があります。

がんに加えて、HPV感染は良性疾患である「尖圭コンジローマ」の原因にもなります。尖圭コンジローマは、性器や肛門の周囲にできるイボ状の病変で、治療には時間がかかり、再発を繰り返すこともあります。見た目の問題だけでなく、精神的な苦痛も伴う疾患であり、HPV感染が男性自身の身体的・精神的なQOLに多大な影響を及ぼす可能性があることを理解しておくことが重要です。

パートナーへの感染源になる可能性も

HPV感染は、ご自身の健康だけでなく、大切なパートナーの健康にも影響を及ぼす可能性があります。男性の場合、HPVに感染しても自覚症状が出ないことが多く、そのためご自身がウイルスキャリア(感染者)であることに気づかないまま、性交渉を通じてパートナーにウイルスを感染させてしまうリスクがあるのです。

特に女性パートナーにHPVを感染させた場合、その方が子宮頸がんを発症するリスクを高めてしまうことにつながります。子宮頸がんは、女性にとって深刻な病気であり、早期発見・治療が重要です。しかし、男性がHPVワクチンを接種することで、ご自身の感染リスクを減らし、結果的にパートナーへのウイルスの伝播を防ぐことができます。

このように、男性がHPV感染予防に取り組むことは、単にご自身の健康を守るだけでなく、大切なパートナーの健康、ひいては二人の関係を守る上でも非常に重要な意味を持ちます。HPVワクチン接種は、個人の健康管理を超え、パートナーシップにおける責任と思いやりを示す行動の一つと考えることができるでしょう。

男性がHPVワクチンを接種する3つのメリット

HPVワクチン接種は、男性にとって自分自身の健康を守るだけでなく、大切なパートナーの健康も守るための重要な選択肢です。前のセクションで解説したHPV感染が引き起こすさまざまなリスクを考慮すると、ワクチン接種はこれらのリスクに対する最も効果的な予防策の一つと言えるでしょう。このセクションでは、男性がHPVワクチンを接種することで具体的にどのようなメリットが得られるのかを詳しく見ていきます。

メリット1:中咽頭がんや肛門がんなどのリスクを低減できる

HPVワクチン接種の最大のメリットの一つは、男性自身が罹患する可能性のあるHPV関連がんの発症リスクを効果的に低減できる点です。具体的には、中咽頭がん、肛門がん、そしてまれではありますが陰茎がんといった悪性腫瘍の原因となるHPVの感染を防ぐことが期待できます。これらの疾患は、一度発症すると治療が困難であったり、QOL(生活の質)を大きく低下させたりする深刻な病気であり、予防できることの意義は非常に大きいと言えるでしょう。

特に、現在主流となっている9価ワクチン「シルガード9」は、これらのがんの原因となる主要なハイリスク型HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染を広範囲に予防できることが科学的に示されています。このワクチンを接種することで、将来の深刻な病気を未然に防ぐ「予防医療」としての価値は計り知れません。将来の健康への不安を軽減し、活動的な生活を長く続けるためにも、HPVワクチン接種は賢明な選択肢となるでしょう。

メリット2:尖圭コンジローマ(性感染症)を予防できる

HPVワクチンは、がん予防という長期的なメリットに加え、尖圭コンジローマという性感染症の予防にも高い効果を発揮します。尖圭コンジローマは、性器や肛門周辺にできるイボ状の病変で、見た目の問題だけでなく、かゆみや不快感を伴うことがあります。治療には電気メスやレーザーによる切除、凍結療法、塗り薬などがあり、時間や手間がかかる上、再発を繰り返すことも少なくないため、精神的な負担も大きい疾患です。

しかし、HPVワクチン、特に4価ワクチンおよび9価ワクチンは、尖圭コンジローマの主な原因となるHPV6型と11型の感染を効果的に予防できます。性交渉を経験する前の接種が最も効果的とされていますが、すでに性交渉の経験がある方でも、まだ感染していないHPV型に対する予防効果は期待できます。このワクチンを接種することで、将来的に尖圭コンジローマに悩まされるリスクを大幅に減らし、QOL(生活の質)の維持に直結するという、実感しやすいメリットを享受できるでしょう。

メリット3:大切なパートナーをHPV感染から守れる

HPVワクチン接種は、男性自身の健康を守るだけでなく、大切なパートナーの健康を守るという利他的な側面も持ち合わせています。男性がHPVワクチンを接種してHPVへの免疫を獲得することで、自分がHPVに感染しにくくなります。その結果、性交渉を通じてパートナーへウイルスをうつしてしまうリスクを減らすことができます。

これは、特に女性パートナーにとって非常に大きな意味を持ちます。女性のHPV感染は子宮頸がんの主要な原因であり、男性がワクチンを接種することで、パートナーを子宮頸がんのリスクから守ることにも繋がるのです。個人の健康管理が、パートナーシップにおける責任と思いやり、さらには社会全体の公衆衛生向上(集団免疫への貢献)に繋がるという視点を提供します。自分のためだけでなく、大切な人のためにもなるHPVワクチン接種は、倫理的・感情的な側面からも検討する価値のある予防策と言えるでしょう。

HPVワクチンの種類と選び方|男性の接種対象は?

HPVワクチンは、男性も将来の健康リスクから身を守るために非常に有効な手段ですが、「どのワクチンを選べば良いのか」「いつ接種するのが最適なのか」といった具体的な疑問を持つ方も多いでしょう。このセクションでは、現在日本で接種可能なHPVワクチンの種類とそれぞれの特徴、男性に推奨されるワクチン、そして接種が効果的な対象年齢とタイミングについて詳しく解説します。ご自身の状況に合った最適な選択をするためのガイドとして、ぜひ参考にしてください。

HPVワクチンの種類(2価・4価・9価)の違い

現在、日本で接種できるHPVワクチンには、主に「2価ワクチン」「4価ワクチン」「9価ワクチン」の3種類があります。「価」という数字は、そのワクチンが予防できるHPV(ヒトパピローマウイルス)の型の数を表しています。

具体的には、2価ワクチン「サーバリックス」は、子宮頸がんの主な原因となるHPV16型と18型の2種類に対応しています。これに対し、4価ワクチン「ガーダシル」は、2価がカバーするHPV16型・18型に加え、尖圭コンジローマの主な原因となるHPV6型・11型の2種類も予防できます。そして、現在最も広範囲のHPV型をカバーできるのが9価ワクチン「シルガード9」です。これは、4価がカバーする4種類に加え、さらにHPV31型、33型、45型、52型、58型の5種類(いずれもがんの原因となるハイリスク型)を予防することが可能です。

男性へのHPVワクチン接種の承認状況は変遷しており、以前は4価ワクチンのみが男性に対して承認されていましたが、2025年8月からは9価ワクチン「シルガード9」も男性に対して使用可能になるなど、より多くの選択肢が提供されるようになってきています。

現在推奨されるのは予防効果が最も高い9価ワクチン「シルガード9」

数あるHPVワクチンの中で、これから新たに接種を検討される男性の皆さまには、最も予防効果が高い9価ワクチン「シルガード9」が推奨されます。このワクチンは、がんの原因となるハイリスク型HPVのうち7種類(16, 18, 31, 33, 45, 52, 58型)と、尖圭コンジローマの主な原因となるローリスク型HPV2種類(6, 11型)の合計9種類の型に対応しています。

カバーできるHPVの型の種類が多いため、中咽頭がん、肛門がん、陰茎がんといった男性特有のがんや、性感染症である尖圭コンジローマに対する予防効果が最も期待できます。費用は他のワクチンと比較して高額になる傾向がありますが、得られる広範囲な予防効果と、将来の深刻な健康リスクを回避できるという長期的なメリットを考慮すると、最も合理的な選択肢と言えるでしょう。

特別な事情がない限り、初めてHPVワクチンを接種する男性の方には、この9価ワクチン「シルガード9」を選ぶことを強くおすすめします。ただし、最終的な選択は医師と十分に相談し、ご自身の健康状態やライフスタイルに合わせて決定することが大切です。

接種の対象年齢と推奨時期

HPVワクチンの効果を最大限に引き出すためには、性交渉を経験する前の思春期に接種を開始することが最も理想的とされています。これは、まだHPVに感染していない段階でワクチンを接種することで、効果的に抗体を生成し、将来の感染を防ぐことができるためです。日本の定期接種は女性を対象に小学6年生から高校1年生相当の年齢で実施されていますが、男性においてもこの時期が最も推奨される年齢層となります。

世界保健機関(WHO)は、HPVワクチンを26歳までの男女に推奨しており、この年齢までの接種は高い効果が期待できるとされています。また、27歳から45歳までの男性においても、まだ感染していないHPV型に対する予防効果は期待できます。性交渉の経験があったとしても、すでにすべてのHPV型に感染しているとは限らないため、未感染の型に対する予防効果を得る目的で接種を検討する価値は十分にあります。

「もう性交渉の経験があるから手遅れだ」と諦める必要はありません。たとえ推奨年齢を過ぎていたとしても、ワクチン接種は依然として多くの男性にとって健康を守るための有効な手段となり得ます。ご自身の年齢や性交渉の経験の有無にかかわらず、接種を検討している場合は、一度医療機関を受診し、医師に相談してみることをおすすめします。

【年齢別】男性のHPVワクチン接種スケジュールと費用

HPVワクチン接種を検討されている方にとって、最も気になる点の一つが費用と接種スケジュールではないでしょうか。特に、公費助成の対象となるかどうか、また対象外の場合にはどのくらいの自己負担が発生するのかは、接種を決定する上で重要な要素です。このセクションでは、ご自身の年齢や状況に合わせて、公費助成の有無、任意接種の場合の費用目安、そして具体的な接種回数と間隔について詳しく解説します。これからHPVワクチン接種をお考えの皆さんが、安心して次のステップに進めるよう、分かりやすく情報をお届けします。

公費助成の対象者(小学6年〜高校1年相当の男性)

現在、日本において男性のHPVワクチン接種は、女性のHPVワクチン接種のように国による定期接種制度はありません。しかし、一部の自治体では独自の判断で、小学6年生から高校1年生相当の年齢の男性を対象に、HPVワクチン接種費用の助成制度を導入しています。これは、将来的ながん予防や性感染症予防の重要性から、男性にも接種機会を提供しようという動きが広がっているためです。

この助成制度の対象となる方は、原則として費用の一部または全額が公費で賄われるため、経済的な負担を大幅に軽減できます。ただし、重要な注意点として、この助成制度はすべての自治体で実施されているわけではありません。また、助成されるワクチンの種類(例えば、4価ワクチンのみが対象となる場合など)や自己負担額の有無、助成対象期間なども自治体によって異なります。

そのため、ご自身やお子さんが助成の対象となるかどうか、また具体的な助成内容については、必ずお住まいの市区町村の公式ウェブサイトを確認するか、保健所の窓口に直接お問い合わせください。小学6年生から高校1年生相当の年齢の男性にとって、この制度は将来の健康を守るための貴重な機会となりますので、ぜひ積極的に情報を収集し、活用を検討されることをお勧めします。

任意接種(自費)の場合(大学生・20代〜40代男性など)

大学生や20代、30代、40代の男性など、公費助成の対象外となる年齢層の皆さんは、HPVワクチン接種が「任意接種」となり、費用は全額自己負担となります。公費助成の有無にかかわらず、将来の健康リスクを軽減するための投資として、任意接種を選択される方も多くいらっしゃいます。

現在、最も推奨されている9価ワクチン「シルガード9」を接種する場合の費用は、1回あたり3万円前後が目安となることが多いです。接種回数は、15歳以上で接種を開始する場合、原則として初回接種後2ヶ月後、そして6ヶ月後の計3回接種が必要です。そのため、総額で9万円から10万円程度の費用を見込んでおく必要があります。ただし、医療機関によっては費用が異なる場合がありますので、事前に必ず接種を希望する医療機関に確認してください。

費用は決して安価ではありませんが、HPV関連がんや性感染症に罹患した場合の治療費や、それに伴う心身の負担を考慮すると、HPVワクチンは将来の健康への重要な投資と考えることができます。性交渉経験がある場合でも、未感染のHPV型に対する予防効果は期待できますので、ご自身の状況と費用対効果を総合的に判断し、接種を前向きに検討されることをお勧めします。

予約から接種後まで|HPVワクチン接種の具体的な流れ

HPVワクチン接種を検討する際、「実際にどのような手順で進むのか」「予約はどこでできるのか」「費用はどれくらいかかるのか」といった具体的な疑問をお持ちになるのは当然のことです。このセクションでは、ワクチン接種のプロセスを「医療機関の検索・予約」から「問診」「接種」、そして「接種後の待機と注意点」まで、ステップバイステップで詳しく解説します。

事前に一連の流れを把握することで、受診に対する心理的なハードルを下げ、安心して次のステップへ進めるよう、具体的な情報を提供いたします。ご自身の状況に合わせて、スムーズにワクチン接種を完了できるよう、ぜひご活用ください。

Step1:接種できる医療機関を探して予約する

HPVワクチン接種を決意されたら、まずは接種に対応している医療機関を探すことから始めましょう。男性へのHPVワクチン接種を実施しているのは、泌尿器科、内科、皮膚科、性病科、あるいはトラベルクリニックなど多岐にわたります。最も効率的な探し方は、インターネット検索で「お住まいの地域名 HPVワクチン 男性」と入力するか、自治体の公式ウェブサイトや保健所のページで案内されている医療機関リストを確認することです。

プライバシーを重視される方であれば、オンライン予約に対応している医療機関、男性専門クリニック、あるいは個室完備を謳っているクリニックを選ぶと良いでしょう。予約時には、希望するHPVワクチン、特に9価ワクチン「シルガード9」の在庫があるかを確認することが非常に重要です。事前に確認を怠ると、せっかく受診しても接種できない可能性もあるため、必ず確認してください。

Step2:医師による問診・診察

接種当日は、医療機関の受付を済ませた後、医師による問診と診察が行われます。この問診では、現在の体調(発熱がないかなど)、過去のアレルギー歴、これまでの予防接種で重い副反応が出た経験の有無などが確認されます。正直に答えることで、安全に接種を受けられるかどうかが判断されますので、気になる点はすべて医師に伝えてください。

問診の時間は、HPVワクチンに関する疑問や不安を直接医師に相談できる貴重な機会です。例えば、「性交渉の経験があっても効果はありますか?」「費用はいくらですか?」といった、ご自身が抱えている疑問を積極的に質問することをおすすめします。医師からの説明をしっかりと聞き、納得した上で接種に進むことで、安心してワクチンを受けることができます。

Step3:ワクチン接種

問診と診察が終わり、接種が可能と判断されたら、いよいよワクチン接種です。HPVワクチンは筋肉注射で、通常は上腕の肩に近い部分、具体的には三角筋に接種されます。

注射自体は数秒から数十秒で完了する短時間のもので、多くの方が想像するよりも早く終わります。痛みの感じ方には個人差がありますが、一般的な注射と同程度と考えて良いでしょう。

Step4:接種後の待機と注意点

ワクチン接種が終わったからといって、すぐに帰宅できるわけではありません。接種直後に、ごくまれにアナフィラキシーショックのような重篤なアレルギー反応が起こる可能性があるため、安全確保のため、医療機関内で15分から30分程度の待機が求められます。これは万が一の事態に迅速に対応するための重要な安全対策ですので、必ず指示に従ってください。

接種当日の過ごし方にも注意が必要です。激しい運動や飲酒は避け、入浴は可能ですが、接種部位を強くこすらないようにしてください。また、次回の接種スケジュールを忘れずに確認し、スマートフォンのカレンダーやリマインダー機能を使って、接種間隔が空きすぎないよう管理することが大切ですす。複数回接種が必要なワクチンですので、確実にすべての回数を完了させて、最大限の予防効果を得られるようにしましょう。

HPVワクチンの副反応と安全性について

HPVワクチン接種を検討されている方の多くが、副反応や安全性について不安を感じていることでしょう。このセクションでは、HPVワクチン接種後に起こりうる一般的な副反応と、まれに発生する重い副反応について、正確な情報をもとに解説します。また、万が一、体調に異変を感じた場合の相談先もご紹介し、読者の皆さまが過度に心配することなく、冷静にワクチンのメリットとリスクを判断できるよう、具体的な情報を提供いたします。

よくある副反応(接種部位の痛み、腫れ、発熱など)と対処法

HPVワクチン接種後に最も多く見られるのは、接種部位の症状です。具体的には、注射した部分の痛み、赤み、腫れなどが挙げられます。これらは、体がウイルスに対する免疫を構築しようとしている正常な反応であり、ほとんどの場合、数日以内に自然に軽快します。

また、接種部位の症状以外にも、頭痛、筋肉痛、倦怠感、発熱といった全身性の症状を経験する方もいらっしゃいます。これらの症状も一時的なものであり、通常は数日程度で治まります。もし痛みが気になる場合は、接種部位を冷やすことで和らげることができます。また、市販の解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンやイブプロフェンなど)を服用することも可能ですので、症状に応じて使用を検討してください。

これらの副反応は、他の一般的な予防接種、例えばインフルエンザワクチンなどでも見られるもので、過度に心配する必要はありません。症状が長引いたり、悪化したりする場合は、速やかに医療機関に相談することが大切です。

まれに起こる重い副反応

HPVワクチン接種後には、ごくまれに重い副反応が起こる可能性もゼロではありません。情報の透明性を確保するため、厚生労働省などもこれらを公表しています。具体的には、アナフィラキシー(重いアレルギー反応)、ギラン・バレー症候群、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)などが報告されています。

しかし、これらの重い副反応の発生頻度は極めて低いことがデータで示されています。例えば、アナフィラキシーの発生は100万回接種あたり数件程度とされており、非常にまれな事象です。接種後の医療機関での15〜30分程度の待機は、万が一アナフィラキシーのような即時型のアレルギー反応が発生した場合に、迅速に対応するための重要な安全対策です。

このような重い副反応についても、発生頻度や症状の内容を正確に理解しておくことは重要です。多くの先進国で何億回ものHPVワクチン接種が行われていますが、その安全性は確立されており、メリットがリスクを大きく上回ると評価されています。

副反応などで不安な場合の相談先

HPVワクチン接種後に体調の変化や副反応について不安を感じた場合は、決して一人で抱え込まず、専門家に相談することが大切です。まず第一に、ワクチンを接種した医療機関に連絡し、医師や看護師に状況を説明してください。適切な診断とアドバイスを受けることができます。

また、公的な相談窓口も利用できます。厚生労働省や各都道府県では、感染症や予防接種に関する相談を受け付ける窓口を設置しています。「予防接種相談窓口」などで検索すると、お住まいの地域の窓口情報を見つけることができます。これらの窓口では、ワクチンの安全性や副反応に関する一般的な情報提供や、専門医への受診に関する相談など、幅広いサポートを受けることが可能です。

もし緊急性を感じるような症状が出た場合は、迷わず救急医療機関を受診してください。事前に相談先を把握しておくことで、いざという時に落ち着いて行動できます。安心してHPVワクチン接種を進めるためにも、これらの相談先をぜひ活用してください。

男性のHPVワクチンに関するよくある質問(Q&A)

HPVワクチン接種を検討するにあたり、多くの男性が抱くであろう疑問や不安を解消するため、このセクションではQ&A形式で詳しく解説します。性交渉の経験がある場合の効果、ワクチンの種類選び、接種回数の重要性、他のワクチンとの同時接種の可否、そして海外での男性接種の現状まで、読者の皆様が抱える細かな疑問に一つずつ丁寧にお答えします。この記事を通じて、皆様がHPVワクチン接種に対する理解を深め、安心して次のステップに進むための一助となれば幸いです。

Q. 性交渉の経験があっても効果はありますか?

はい、性交渉の経験がある男性であっても、HPVワクチンの接種効果は十分に期待できます。性交渉の経験があると、すでにいくつかのHPV型に感染している可能性はありますが、HPVには100種類以上の型が存在し、その全てに感染しているわけではありません。

ワクチンは、まだ感染していないHPV型に対して、将来的な感染を予防する効果を発揮します。特に、現在最も多くのHPV型をカバーする9価ワクチン(シルガード9)であれば、非常に広範囲のHPV感染リスクを低減できるため、性交渉経験のある方にも大きなメリットがあります。ワクチンはすでに感染しているウイルスを排除することはできませんが、新たな感染を防ぐ有効な手段として、ぜひ接種をご検討ください。

Q. 4価と9価、どちらを接種すべきですか?

これからHPVワクチン接種を始めるのであれば、最も予防効果が高い9価ワクチン「シルガード9」を強く推奨します。9価ワクチンは、子宮頸がんの原因となる主要なHPV型(16型、18型など)に加えて、中咽頭がん、肛門がん、陰茎がんなど男性特有のがんの原因となるHPV型、さらに尖圭コンジローマの主な原因となるHPV型(6型、11型)まで、計9種類のHPV型に対応しています。これは、2価や4価ワクチンと比較してカバーする範囲が最も広く、将来の健康リスクをより包括的に低減できるためです。

ただし、お住まいの自治体の公費助成が4価ワクチンに限定されている場合や、医療機関での9価ワクチンの在庫状況によっては、4価ワクチンも選択肢となり得ます。いずれにしても、接種前に医師とよく相談し、ご自身の状況や予防したいリスクに応じて最適なワクチンを選ぶことが大切です。

Q. 3回(または2回)接種を完了しないと意味がありませんか?

HPVワクチンの十分な予防効果を長期間維持するためには、定められた回数(年齢に応じて2回または3回)の接種を完了することが非常に重要です。1回目の接種だけでも一定の免疫は得られますが、推奨される回数を終えることで、より確実で持続的な免疫が形成されます。

もし何らかの理由で接種間隔が空いてしまったり、途中で接種が中断してしまったりした場合でも、最初からやり直す必要はありません。その場合は、できるだけ早く医療機関に相談し、残りの接種を再開するようにしましょう。自己判断で中断せず、医師の指示に従って接種計画を立て直すことが、最大限の予防効果を得るために大切です。

Q. 他のワクチン(インフルエンザ、コロナなど)と同時に接種できますか?

原則として、HPVワクチンはインフルエンザワクチンや新型コロナウイルスワクチンなど、他の種類のワクチンと同時に接種することが可能です。世界的に見ても、同時接種は安全性や有効性に問題がないとされています。

ただし、複数のワクチンを同時に接種した場合、副反応が出た際に、どのワクチンによるものか判断しにくくなることがあります。そのため、もし副反応が気になるようでしたら、医師と相談の上、数日間隔をあけて接種することも一つの方法です。最終的な接種計画は、ご自身の健康状態や他のワクチンの接種予定などを考慮し、必ず接種を受ける医療機関の医師にご相談ください。

Q. 海外では男性の接種は当たり前なのですか?

はい、多くの先進国では男性へのHPVワクチン接種が一般的になっています。例えば、アメリカ、オーストラリア、イギリスといった国々では、男女ともにHPVワクチンの定期接種が推奨されており、公的な予防接種プログラムに組み込まれています。

これらの国々では、男性へのHPVワクチン接種プログラムの導入により、尖圭コンジローマなどの性感染症の減少だけでなく、将来的にはHPV関連がんのリスクも減少することが期待されており、実際にその効果に関する報告も出てきています。日本においても、男性へのHPVワクチン接種が世界的な潮流に沿った、重要な公衆衛生上の取り組みとして認識されつつあります。

まとめ:将来のリスクに備え、HPVワクチン接種を検討しよう

ここまで、男性がHPVワクチンを接種することで得られる具体的なメリット、懸念される安全性や副反応、そして費用や具体的な接種の流れについて詳しく見てきました。HPVワクチンは、子宮頸がん予防として女性のイメージが強かったかもしれませんが、中咽頭がんや肛門がんといった男性自身のがん、さらには不快な尖圭コンジローマなどの性感染症からも身を守る、非常に有効な予防策です。

また、ご自身の健康だけでなく、大切なパートナーをHPV感染のリスクから守り、将来の子宮頸がんを予防することにもつながります。費用や接種の手間を考えると一歩踏み出しにくいと感じるかもしれませんが、これらの出費は将来の重篤な病気による治療費や心身の負担を考えれば、むしろ賢明な「自己投資」と言えるでしょう。

現在のあなたの年齢や性交渉の経験に関わらず、HPVワクチンは多くの方にとって接種を検討する価値のある選択肢です。まずは、お近くの医療機関や専門医に相談し、ご自身の状況に合わせた最適な接種計画について話し合ってみることをおすすめします。将来の健康と大切なパートナーのために、ぜひこの機会にHPVワクチン接種を前向きに検討してみてください。

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クリニック 連絡先
八重洲北口院
グランスタ丸の内院
エキュート上野院
ペリエ千葉エキナカ院
ファミリアペリエ千葉院

執筆者

医療法人社団クリノヴェイション理事長

内藤 祥

Naito Sho

経歴

北里大学医学部卒
沖縄県立中部病院で救急医療、総合診療をトレーニング
沖縄県立西表西部診療所で離島医療を実践
専門は総合診療

資格

日本プライマリ・ケア連合会認定 家庭医療専門医・指導医
日本内科学会 認定医
日本医師会 認定産業医
日本旅行医学会 認定医
日本渡航医学会 専門医療職