髄膜炎菌ワクチン imd
髄膜炎菌感染症(Nisseria meningitidis)
概要
- 病原体:Nisseria meningitidis(髄膜炎菌)はグラム陰性双球菌で、ヒトの鼻咽頭に常在することがあります
- 感染経路:くしゃみや咳などにより、咳・くしゃみ・会話などで飛まつを介して感染します
- 疾患形態:
- 髄膜炎:髄膜(脳・脊髄の膜)の感染。
- 髄膜血症(菌血症):血液中に菌が侵入し、全身症状を引き起こす。
- 危険性が高く、少数ですがこれらが併発することもあります
発症のスピード
健康そうに見えても、数時間~1日で激しい症状に進行することがあり致死率は 10~20% にのぼります
感染のリスクと流行地
リスクが高い人
- 乳幼児・10代後半~若年成人・高齢者
- 学生寮や軍隊、イベント会場、混雑した環境 など、人が密集する場所での集団感染のリスクが高まります
- 渡航者(特に乾季や流行期に、アフリカの髄膜炎ベルト地域・サウジアラビア巡礼地などへ行く方)も予防接種が推奨されます
流行地域
サウジアラビアではハッジなど巡礼客に対しワクチン接種が入国条件となっています
アフリカ髄膜炎ベルト(セネガルからエチオピアまでのサハラ以南地域)では乾季(12月~6月)に大規模な流行が起きやすく、攻撃率は100~800/10万人と高水準です
合併症
菌血症(敗血症):血液が異常凝固する播種性血管内凝固(DIC)を引き起こし、臓器不全やショックに至ることがあります
皮膚に点状出血や紫斑が現れ、重症では**急性壊死(ガングリーン)**により手足が切断される場合もあります
中枢神経合併症:髄膜炎による意識障害、痙攣、脳障害、聴力低下や難聴、認知障害などが残ることがあります副次的影響:心理的トラウマ、PTSD、身体的・神経学的後遺症など長期に影響を及ぼす可能性があります
髄膜炎菌ワクチン
ワクチンの種類・分類
- 4価結合型髄膜炎菌ワクチン:血清群 A、C、W、Y に対するポリサッカライドをトキソイド(破傷風/ジフテリア)に結合させたものです
- 日本では、4価ワクチンが侵襲性髄膜炎菌感染症予防として2022年9月に承認
- 世界では米国(2歳以上)、欧州(12カ月以上)などで認可
接種対象者
- 対象年齢:2歳以上(米国では2歳以上、欧州は12か月以上)
- 受ける方:
- 学生寮・集団生活をする若者、乾季のアフリカ渡航者、ハッジ巡礼者。
- 心臓・脾臓疾患、免疫不全などリスク因子がある方。
- 思春期以降、大学入学や海外留学を予定する方など。
接種方法とスケジュール
- 1回0.5mLを筋肉内接種(通常は上腕に)。
- 追加接種(ブースター):アメリカCDCは11~12歳で1回、16歳で2回目というスケジュールを推奨しています。
期待される効果
- 血清群 A、C、W、Y に対する侵襲性髄膜炎菌感染症(IMD)予防。
- 米国・カナダなどでは青少年への定期接種により発症率が大きく減少。
- 渡航者へ使用することでアフリカ流行地域やハッジ参加者の感染リスクを下げる。
安全性・副反応
一般的に安全性は高く、注射部位の痛み・腫れ・発赤などが多く報告されます。
微熱や頭痛など軽症の全身症状があり得ます。
アレルギー反応(アナフィラキシー)はごく稀(100万回に1~2回程度)。
現時点でGuillain‑Barré症候群(GBS)とは相関なし。
妊婦に対する接種も基本的には安全とされています。
接種時の注意事項
1 .接種時期:流行地域(乾季)渡航の10~14日前までに接種を終えること。
2.健康状態の把握:発熱・アレルギー・神経症状の既往など、医師に必ず伝えてください。
3.予防接種証明書:ハッジ巡礼などでは国・地域によって証明書が必要な場合があります
4.ブースター接種:追加接種が必要な場合があります。特に思春期や海外留学前は医療機関に相談を。
5.副反応確認:接種後30分は施設内で待機し、急に体調が変わった場合はすぐに医療機関へ。
料金表
ワクチン名 | 製品 | 価格 |
---|---|---|
髄膜炎菌ワクチン(国産ワクチン) |
メンクアッドフィ |
27,500円(税込30,250円) |
髄膜炎菌ワクチン(輸入ワクチン) |
Menveo® |
24,500円(税込26,950円) |