子宮頸がん(HPV)ワクチン hpv
HPV(ヒトパピローマウイルス)感染症
概要
- HPVは性行為などの接触を通じて感染するウイルスです。多くは自然に排除されますが、一部は長期感染(持続感染)し、将来的にがんを引き起こす場合があります。
- 特に子宮頸がんの90%以上がHPV感染によるとされ、HPV 16型・18型が約70%を占めます
- 感染の特徴
- 性器への接触感染が主で、性行為未経験でも感染する可能性があります。
- ほとんどは自覚症状がなく、自然消失しますが、持続感染するとリスクが高まります。
- HPVの型は100種以上あり、その内、中~高リスク型ががんの原因とされます。
流行地・感染リスク
- 世界中で流行しており、性行動が普及している地域で感染率が高い傾向があります。
- 発展途上国では子宮頸がんの発生率・死亡率が高く、HPVワクチン導入が望まれています。
- 日本でも若年層の感染は珍しくなく、また2013年以降の積極的勧奨の一時停止により接種率が1%以下に低下した時期がありました。2022年に再開されています。
合併症(できもの・がんなど)
HPV関連の頭頸がん(口腔・喉など):HPV16が約26~35%に関与
尖圭コンジローマ(性器いぼ):HPV 6・11型による。
前がん病変: 子宮頸部上皮内腫瘍(CIN1~3など)、陰茎・肛門・外陰部の異形細胞。
がん化:
- 子宮頸がん(主にHPV16/18)
- 外陰・膣がん
- 肛門がん
HPVワクチンの種類と特徴
現在、以下の3種類が主に使われています
ワクチン種類
ワクチン名 | 阻止するHPV型 | 主な対象 |
2価(サーバリックス) | 16、18 | 主に子宮頸がん予防 |
4価(ガーダシル4) | 6、11、16、18 | 子宮頸がん+性器いぼ |
9価(シルガード9) | 6、11、16、18、31、33、45、52、58 | がん予防カバー範囲が広い |
9価ワクチンは、現在最も幅広いHPV型を対象にしており、約90%以上の子宮頸がんを予防可能という点で特に注目されています。
9価ワクチンは日本で「シルガード9」の商品名で承認・販売されており、2021年2月から導入されています。
接種対象と方式
対象年齢
接種部位は上腕の三角筋が一般的です。
9歳~45歳までの男性・女性(国や混合型ワクチンによる)
主に思春期の若者(9~14歳)が推奨の中心。WHOもこの年齢層を重点対象としています。
接種スケジュール
9~14歳:2回または3回接種(2回の場合、2回目は6~12か月後)
15~45歳:3回接種(2回目は約2か月後、3回目は初回から6か月後)
期待できる効果・有効性
効果
9価ワクチン(シルガード 9)は日本の男性16–26歳を対象にした臨床試験(Phase 3)で感染率を有意に低減しました。
2価:HPV16/18による子宮頸がんの約70%を予防。
4価:さらに性器いぼを90%以上予防。
9価:がん・異形病変の予防カバー率90%超。
(米CDCやFDAの報告でも、HPV感染率や前がん病変が大幅に減少することが示されています)
接種による副反応・注意点
主な副反応
稀にアレルギー反応(例えば酵母に対するもの)や、**失神(若者に多い)**が報告されています。
局所:接種部位の痛み・腫れ・発赤・しこり
全身:頭痛・発熱・倦怠感・めまい・嘔気
接種後には、15分ほどその場で安静・様子観察が推奨されます
接種できない人・注意事項
過去にワクチン成分(例:酵母・他のHPVワクチン)に重度アレルギーがあった場合は接種不可。
現在妊娠中または出産直後の場合、接種は延期が推奨されます。
接種後も定期的な子宮頸がん検査(子宮頸部細胞診)は必要です。ワクチンはがんのリスクを低減しますが、すべての癌を防ぐわけではありません。
接種後に気をつけること
頭痛・腕の痛み・発熱などに備えて、安静と水分補給
15分待機し、失神などの兆候がないかを確認
2回・3回と規定の回数を完遂することで、十分な効果が期待できる
性感染症全般の予防として、コンドーム使用・適切な性交時期・人数などの相談も併せて行うとより効果的です。
料金表
ワクチン名 | 製品 | 価格(税込) |
---|---|---|
HPVワクチン(国産) |
ガーダシル4 |
20,500円(税込22,550円) |
HPVワクチン(国産) |
シルガード9 |
29,500円(税込32,450円) |