ロタワクチン rotavirus
ロタウイルス感染症
概要
- ロタウイルスは「乳児・小児の急性胃腸炎」で最も多い原因ウイルスで、2歳までにほとんどの子どもが一度は感染します
- 症状は、嘔吐・激しい水様下痢・発熱・腹痛で、通常3~8日続きます。初感染で重症化しやすく、2回目以降は軽症または無症状になる傾向があります
感染経路・潜伏期
- 主に糞口経路(感染者の便から手→口へ)で広がり、物品を介しても伝播します。
- 潜伏期間は約2日間です
流行地域・季節性
- 世界中で流行し、とくに衛生状態が整っていない地域では重症化や死亡例が多く見られます(年間約45万人の乳児が命を落としている)
- 日本を含む温帯地域では冬から春にかけて流行のピークを迎えます。
感染のリスク
- 集団生活をする乳幼児(保育園など)、免疫力の低い子ども、清潔でない環境にある子どもが主なリスクグループです。
- 家庭内でも、感染した子どもの便を介して他の家族に広がることもあります
主な合併症
まれな合併症:脳炎・髄膜炎など中枢神経への影響や、まれにウイルス性菌血症の報告もあります
脱水症:嘔吐・下痢が続くことで深刻な脱水に陥ることがあります。
イレウス(腸障害):まれに腸がねじれる病気(腸重積)を引き起こすことがあります。
ロタウイルスワクチン
ワクチンの種類・分類
- ロタウイルスワクチンは生ワクチン・経口(飲むタイプ・弱毒化ヒト株)で、2回もしくは3回の服用で完了します
- 他に5価ワクチンのRotaTeqもありますが、Rotarixは1価でG1型をターゲットにしつつ、G3・G4・G9などの型にも効果があります
使用対象者と接種スケジュール
- 対象年齢:初回は生後6週から、2回目は生後24週(6カ月以内)までに完了が推奨されます
- WHOやCDCでも「乳児期早期の接種」が定められており、医師による確認が必要です(遅れると腸重積の副反応が起こりやすくなるとされています)
- 接種方法
- 経口投与:口に飲ませるだけでOK(針不要)。
- 錠剤などの経口避けが難しい子でも使いやすく、2回投与でシリーズ完了となります
効果・有効性
特に発展途上国では重度症例が15~34%減少、先進国では37~96%の重症下痢を防ぐことが報告されています
重症胃腸炎による入院リスクを80~90%軽減し、発症そのものも大幅に減少させます
他の血清型(G3、G4、G9など)にも効果が確認され、集団免疫によって間接的な保護も期待されます
副反応・安全性
最も注意すべきは稀な腸重積(イレウス)の発症。一部のデータでは20,000~100,000回接種に対し1例程度報告されており、ワクチン後7日以内に少量報告があります
その他は軽度の下痢、嘔吐、発熱などが見られることがありますが、大半は自然に治ります。
特に回復性免疫低下児(例:重症複合免疫低下症)
接種時の注意点
1.対象年齢の確認(初回:生後6週以降、完了24週以内)
2.重症複合免疫不全や腸重積歴などの禁忌事項がないか医師と必ず相談
3.接種後1週間程度は、腸重積の兆候(激しい嘔吐、血便、ぐったりなど)を観察し、異変があれば速やかに受診を
4.他の予防接種(例:DPT、Hib、ポリオなど)と同時に接種でき、スケジュールに沿いやすい
5.予防は水分補給・手洗い・清潔管理と組み合わせて行うとさらに安心です。
種類と価格
ワクチン名 | 製品 | 価格(税込) |
---|---|---|
ロタウイルスワクチン(国産ワクチン) |
ロタリックス |
18,500円(税込20,350円) |