破傷風・ジフテリア・百日咳ワクチン(T-Dap) t-dap
破傷風
原因:土壌や動物の糞便中にいる破傷風菌(Clostridium tetani)が、ケガや刺し傷などを通じて侵入し、神経毒素を産生します。
主な症状:筋肉がけいれん・硬直し、「ひきつけ」や呼吸困難を伴うこともあります。
合併症:重症では窒息や心肺停止の危険があります。
流行地・リスク:世界中どこでも発症しますが、特に土壌汚染が多く、怪我の多い環境ではリスクが高まります。
予防完了後の免疫:3回接種後にほぼ全員が免疫獲得。10年ごとにブースター接種が必要です。
ジフテリア
原因:コリネバクテリウム・ジフテリア菌が咽頭などの粘膜に感染、毒素を産生します。
主な症状:のどの痛み、灰白色の膜(偽膜)による呼吸困難、発熱。
合併症:心筋炎、神経麻痺、場合によっては死亡。
流行地・リスク:世界の多くで予防接種が普及し発生は少ないが、衛生状態の悪い地域や予防接種が不十分な地域で散発的に見られます。
予防完了後の免疫:初回シリーズ(3+ブースター3回)で約25年間、追加不要とされています。
百日咳
原因:百日咳菌(Bordetella pertussis)による飛沫感染。
主な症状:激しい「けいれん咳」、息を吸う際のヒューヒュー音、特に乳幼児では無呼吸発作やチアノーゼを伴うこともあります。
合併症:小児では肺炎、脳症、乳児死亡もありえます。
流行地・リスク:ワクチン接種率が低下した地域やブースター未接種の年長者・成人において流行しやすくなっています。
予防完了後の免疫:アセルラワクチン(無細胞)接種の場合、効果は初年度に高く、毎年数%ずつ低下します。
破傷風・ジフテリア・百日咳 3種混合ワクチン(T-Dap)
分類と特徴
- ワクチン名:BOOSTRIX(Tetanus toxoid, reduced Diphtheria toxoid, acellular Pertussis vaccine, adsorbed)
- 分類:アセルラ(無細胞)ワクチン。破傷風とジフテリアはトキソイド(毒素不活化型)、百日咳は主要毒素・膜タンパク成分を含みます。
- 特徴:アレルギー反応が少なく、安全性が高いのが特徴です。
- 接種対象者
- 10歳以上が対象(成人・思春期も含む)。
- 妊婦:第3トリメスター(妊娠後期)に接種し、2か月未満の乳児を百日咳から守ります。
- 接種方法・スケジュール
- 投与量:0.5 mL を上腕の三角筋に筋肉注射します。
- 期限:最後のDTaPまたはTdから5年以上経過していることが前提。妊娠中や破傷風の創傷管理目的でも使用可能。
- 再投与間隔:初回からさらに9年後以降の追加接種が推奨されます。
- 期待できる効果
- 破傷風:強い免疫が生じ、ほぼ完全に予防できます。
- ジフテリア:約95%の人が免疫獲得。
- 百日咳:感染や重症化を大きく抑制できますが、徐々に効果が低下することがあります
- 妊婦接種:乳児に移行抗体ができ、初期感染リスクや重症化を減らします。
副反応
- 主な副反応:
- 注射部位の赤み、腫れ、痛み(25–85%)
- 発熱、疲労、頭痛、嘔吐、下痢など(軽度~中等度)
- まれな重症反応:
- アナフィラキシー(頻度極めて低い)、神経障害(Guillain‑Barré症候群)既往者は慎重に検討する必要あり。
注意事項・禁忌
- 禁忌:過去にBoostrixや類似ワクチンで重篤なアレルギーを起こした人。接種後7日以内に原因不明の脳症があった人は避ける。
- 接種延期:急性の高熱疾患がある場合は体調回復まで延期すべきです。軽い感染症程度なら問題ありません。
- 出血傾向がある人:筋注による出血リスクがあるため、医師と相談の上、経皮注射や延期を考慮します。
- 免疫抑制者:免疫応答が弱まる可能性があることに留意します。
- 妊婦の場合:第3トリメスター(28~36週頃)に接種し、同居家族も最新のワクチンを受けましょう(コクーン効果)。
料金表
ワクチン名 | 製品 | 価格(税込) |
---|---|---|
三種混合ワクチン T-dap(輸入ワクチン) |
Boostrix® |
11,500円(税込12,650円) |