RSウイルスワクチン rs_virus_vaccine
RSウイルス感染症とは
RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)は、子どもから高齢者まで誰もが感染する可能性のある呼吸器系のウイルスです。多くの場合、風邪のような軽い症状で済みますが、特に以下のような人では重症化する恐れがあります。
- 60歳以上の高齢者
- 喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心臓病、糖尿病などの基礎疾患がある方
- 免疫機能が低下している方
- 新生児や生後6か月未満の乳児
これらの方が感染すると、肺炎や気管支炎など重い下気道の病気につながる可能性が高くなります。また、RSウイルスにはワクチン接種や感染後の免疫があっても、繰り返し感染することがあります。
RSウイルス感染症のリスク
海外の調査によると、RSウイルス感染症による入院のリスクは、以下の基礎疾患があるとさらに高くなることがわかっています。
・喘息:2.0~3.6倍
・COPD:3.2~13.4倍
・心不全:4.0~33.2倍
・冠動脈疾患:3.7~7.0倍
・糖尿病:2.4~11.4倍
そのため、これらの疾患を持っている方には、特に予防が重要です。
RSウイルスワクチンの種類と特徴
現在、日本ではRSウイルス感染症を予防するためのワクチンとして、「アレックスビー(Arexvy)」と「アブリスボ(Abrysvo)」の2種類が承認されています。
① アレックスビー(Arexvy)
- 対象:60歳以上の方、および50歳以上で基礎疾患がある方(医師の判断が必要)
- 成分:RSウイルスの膜融合前型Fタンパク質(PreF3抗原)
- 接種回数:1回筋肉注射
- 特徴:強力な免疫効果を引き出すため、アジュバント(AS01E)を含む
- 有効性:
- 60歳以上:82.6%
- 基礎疾患がある60歳以上:94.6%
- 2年目以降も一定の効果が継続
② アブリスボ(Abrysvo)
- 対象:
- 妊娠28~36週の妊婦(赤ちゃんへの免疫移行による予防)
- 60歳以上の方
- 成分:RSV-AおよびRSV-Bの融合前Fタンパク質
- 接種回数:1回筋肉注射
- 特徴:妊婦にも接種可能で、新生児・乳児への予防効果が期待される
- 有効性:
- 新生児:69.4%(重症下気道疾患の予防)
- 高齢者:66.7〜85.7%(症状の重さによって異なる)
主な副反応
アレックスビーの副反応(頻度は60歳以上を対象とした試験結果)
- 注射部位の痛み(60.9%)
- 疲労感(33.6%)
- 筋肉痛、頭痛、発熱など(10〜30%)
- 重篤な副反応(アナフィラキシー、ショックなど):まれだが注意が必要
アブリスボの副反応
- 妊婦:
- 注射部位の痛み(40.6%)、頭痛(31.0%)、筋肉痛(26.5%)
- 高齢者:
- 注射部位の痛み(10.5%)、疲労(15.5%)、頭痛、発熱など
- 重篤な副反応(アナフィラキシーなど):非常にまれ
いずれのワクチンも、多くの場合は軽度〜中等度の副反応で数日以内におさまります。
予防接種を受けるときの注意
接種できない人
以下に該当する方は、接種を受けることができません:
- 37.5℃以上の発熱がある方
- 重篤な急性疾患がある方
- 過去にこのワクチンの成分でアナフィラキシーを起こした方
- 医師が不適当と判断した方
接種に注意が必要な人
- 血小板が少ない方、出血傾向のある方
- 免疫不全のある方やその家族
- 心臓・腎臓・肝臓などに基礎疾患がある方
- けいれんの既往がある方
- 授乳中の方(特にアブリスボ接種時)
接種前には、必ず医師の問診と説明を受けて、納得の上で接種してください。
接種後の注意点
・30分程度は院内で安静にし、体調の変化がないことを確認してください。
・接種当日は激しい運動を避け、注射部位を清潔に保ちましょう。
・入浴は可能ですが、強くこすらないようにしましょう。
・異常を感じたらすぐに医師に連絡してください(高熱、強い痛み、呼吸困難など)。
RSウイルスは、多くの人にとっては軽い風邪程度ですが、特に高齢者や赤ちゃんにとっては
命に関わる重症感染症となることがあります。アレックスビーとアブリスボは、
これを防ぐために有効なワクチンです。ご自身やご家族の健康を守るために、
医師と相談のうえ、予防接種をご検討ください。
不明点があれば、接種前に必ず医師や薬剤師にご相談ください。
ワクチン名 | 製品名 | 価格 |
---|---|---|
RSウイルス(国産ワクチン) |
アレックスピー筋注用 |
30,500円(税込33,550円) |
RSウイルス(国産ワクチン) |
アプリスポ®筋注用 |
30,500円(税込33,550円) |