舌下免疫療法について

スギやヒノキによる季節性のアレルギー性鼻炎(花粉症)の季節は2月〜5月程度まで続きます。ハウスダストやダニのアレルギー性鼻炎の方は1年を通じてアレルギー性鼻炎の症状に悩まされます。

このアレルギー性鼻炎の治療には、症状を薬でおさえる薬物療法(対症療法)と、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を少しずつ体に投与して体を徐々に慣れさせていくアレルゲン免疫療法があります。アレルゲン免疫療法は根本的に体質改善が期待できる治療法で、長期に渡って症状をおさえたり、和らげたりすることが期待できます。
アレルゲン免疫療法には、注射でアレルゲンを投与する皮下免疫療法と舌の下にアレルゲンを投与する舌下免疫療法があり、当院では舌下免疫療法(スギではシダキュア、ダニではミティキュアという薬)を行っています。

舌下免疫療法は、症状があり、血液検査などでスギまたはダニによるアレルギー性鼻炎と診断された患者さんが治療を受けることができます。年齢は5歳以上が推奨されています。妊娠中や授乳中の方の開始はできず、また気管支喘息やアトピー性皮膚炎が重度であったり病状が安定していない方なども当院では開始しておりません。スギの舌下免疫療法は、1−5月の花粉飛散中の開始は不可となっておりますが、ダニの舌下免疫療法はいつでも開始することができます。当院では過去1年以内の血液検査の結果をもとに処方をしております。血液検査は当院で行うことができますのでご相談ください。

1日1回、少量の錠剤から服用をはじめ(開始から1週間程度)、その後増量して、決められた一定量を数年間(目安は3−5年間)継続して服用します。舌の下に置き、1分間は保持した後に飲み込みます。その後5分間は飲食、うがいは避けます。安全のため、当院では初回は院内で薬を服用してもらい、30分間はその場で安静にして経過観察をしてもらっています。スギ花粉症の場合は、スギ花粉が飛んでいない時期も服用を続けていきます。

長期にわたり正しく治療を続けると、アレルギー症状を治したり、長期間症状を抑える効果が期待できます。症状が完全に抑えられない場合でも、症状を和らげ、対症療法の薬を減らすことができます。長期成績については、治療終了後も持続した有効性があり、3年間治療すると終了後2年間は効果が持続したという研究や、3年治療すると7年間効果が持続し、4−5年治療すると8年持続したという研究などがあります。

約半数程度の方で、局所の副作用として、口の中の腫れや痛み、かゆみ、違和感や唇の腫れ、喉の刺激感、耳のかゆみなどが起きますが、多くは1−2ヶ月以内に症状が改善していきます。アレルギーを抑える抗ヒスタミン薬を併用することも可能です。稀にアナフィラキシーなどの重い副作用を起こすことがあり(国内では0.1%未満)、その場合は服用は中止とし、適切な医療機関へご紹介しています。

当院でも例年6月からスギ花粉症の舌下免疫療法を開始しております。今回を機にアレルギー性鼻炎の根本的な治療を始めたい方は、是非外来で相談してください。

柳本 蔵人
東京ビジネスクリニック 常勤医師
自治医科大学医学部卒。千葉県内の地域医療に従事し、東京ビジネスクリニックの常勤医となる。
日本プライマリ・ケア連合学会認定 家庭医療専門医・指導医、日本在宅医療連合学会認定 専門医

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