子宮頸がんとHPVワクチン | わかりやすく解説します! Part 2「HPVの特徴とワクチンの有効性」

はじめに

Part1では子宮頸がんについて解説しました。子宮頸がんの95%以上はHPVを原因としており、性的接触によって多くの女性がHPVに感染しています。子宮頸がんの初期はほとんどが無症状であり、予防と早期発見が重要です。予防はHPVワクチンとコンドーム使用、早期発見はがん検診が重要な役割を果たします。今回はHPVの特徴とワクチンの有効性について解説します。

HPVはどんなウイルス?

HPVはヒトのみに感染するウイルスであり、200種類以上の遺伝子型が同定されています。子宮頸がんに加え、肛門がん・中咽頭癌がん・陰茎がん・膣がん・外陰がんの原因になり、尖圭コンジローマなどの良性のイボも引き起こします。子宮頸がんの原因になる遺伝子型として、HPV16/18/31/33/35/45/52/58型などが報告されており、HPV16/18型で全体の約70%を占めます。

ワクチンの種類と予防効果

世界的には2007年からHPVワクチンの接種が開始され、日本では2009年に2価ワクチンのサーバリックス®、2011年に4価ワクチンのガーダシル®が発売されました。サーバリックス®はHPV16/18型、ガーダシル®はHPV16/18/6/11型をそれぞれカバーします。HPV16/18型の予防によって子宮頸がんの約70%に対応でき、HPV6/11型のカバーによって尖圭コンジローマの95%以上を予防できます。その後海外で9価のHPVワクチンが開発され、日本では2021年2月にシルガード9®として発売されました。シルガード9®はHPV16/18/6/11/31/33/45/52/58型をカバーし、これによって子宮頚がんの約90%を予防できます(図1)。


図1. HPVワクチンの型と各種ワクチンによる予防(Know VPDより)

研究データに基づく有効性

HPVに感染してから子宮頸がんになるまでは時間がかかるため、これまでの研究はHPV感染と前がん病変で評価されていました。国内外の研究結果により、2価・4価ワクチンでカバーされるHPV16/18型の感染は最大90%、前がん病変は最大85%減少すると報告されました。また2020年には、スウェーデンで4価ワクチンによる子宮頸がんの減少効果が評価されました。その結果、10〜30歳の女性で子宮頸がんの発症が63%減少し、そのうち10-16歳で接種した女性は発症が88%減少、17-30歳で接種した女性は発症が53%減少しました(図2)。


図2. 4価HPVワクチン接種と子宮頸がんの減少効果(日本産婦人科学会より)

9価ワクチンの効果も徐々に報告されており、2価・4価でカバーされない遺伝子型による子宮頸がんを約90%減少させる研究データが複数あります。またHPVを原因とする子宮頸がん以外のがんの発症も減少しました。ただし、HPVワクチンは接種時に既に感染しているHPVは排除できず、既に生じているHPV感染の進行を止める効果もありません。そのため、性交渉を経験する前にHPVワクチンを接種する方がより予防効果が高く、10代前半での接種開始が推奨されています。

次回のPart 3ではHPVワクチンの副反応と接種の実際について解説します。

当院の子宮頸がんワクチンについてはこちら

<参考資料>
・日本産婦人科学会: 子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために
https://www.jsog.or.jp/modules/jsogpolicy/index.php?content_id=4
・Know VPD: HPVワクチン
https://www.know-vpd.jp/children/va_c_cancer.htm
・こどもとおとなのワクチンサイト
https://www.vaccine4all.jp/topics_I-detail.php?tid=9
・厚生労働省: ヒトマピローマウイルス感染症〜子宮頸がんとHPVワクチン
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/index.html

田 陽
東京ビジネスクリニック 常勤医師
大阪市立大学医学部卒業。千葉県内で医師研修を受け、上海での駐在日本人向けの医療を実施。
その後川崎市内で家庭医療を研修し、東京ビジネスクリニックの常勤医師となる。

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