PCR検査をうけるメリットとデメリットは?

今回は新型コロナウイルスのPCRの検査をうけるメリットとデメリットについてお話を致します。

その前に新型コロナウイルス一般的な臨床経過と結果の解釈について説明いたします。

新型コロナウイルスの一般的臨床経過

PCR検査の結果の解釈について

  現況 感染性 対応 社会的・個人的意義
 PCR検査陽性 発病 あり 対症療法 感染源として対応することで感染拡大を防ぐ。
罹患者に迅速な医療対応が期待できる  
潜伏期 あり 経過観察
無症候感染者 あり 経過観察
偽陽性 なし 経過観察
PCR検査陰性 潜伏期 あり 経過観察 陰性証明後数日は感染性が低い。
PCR陰性が感染を完全に否定できない。
これまでと変わらず予防策を継続が必要。
感染源になりうると考えて行動が必要。
偽陰性 あり 経過観察
非感染者 なし 経過観察

以上の点を踏まえた上でPCR検査を受けるメリットとデメリットはこちらです。

PCR検査を受けることのメリット・デメリット

  メリット デメリット
社会的 個人的 社会的 個人的
PCR検査陽性 感染源管理で感染拡大を防ぐことができる 重症者への早い対応が期待できる 社会対応が逼迫する可能性が出る。
差別
偽陽性でも管理対象となる(人権)
特別な治療なし
PCR検査陰性 特になし 検査後数日間の低感染性が証明される。 偽陰性・潜伏期の感染者の活動が感染拡大につながる。 陰性であっても今後の対応に変化なし

PCR検査を行うことの主な目的は感染拡大を防ぐことです。

PCR検査が最も早く感染者を見つけ出すことができる検査です。感染の可能性の高い疑わしい症状のあるかたや濃厚接触者の方に対してできるだけ速やかに検査を行う必要があります。検査の時期としては有症者にはすぐ、濃厚接触者は接触後数日してから行うことで効果的な検査ができ陽性率もあがる可能性があります。陽性者を見つけることで周辺への感染予防対策を十分に行うことができるようになります。

検査で陰性は感染を完全に否定するものではありません。

真の陰性以外に偽陰性や潜伏期の陰性が含まれているので、感染していないと考えて行動した場合、感染を広げてしまう恐れがあります。陰性の場合、検査から数日の間は感染源になる可能性は低いとはいえますので、その数日の間に会議に参加することや飛行機に搭乗するなどの行動するためには検査の陰性証明は有益です。しかしながら、検査後1週間、2週間帰省するとか出張するとかになると感染源になる可能性はないとはいえません。真の陰性でも検査後に感染する可能性もあります。

当院でも新型コロナウイルスのPCR検査を実施しております。

詳しくはコチラ

※本記事は2020年8月に執筆されPCR検査のページに載せていたものを投稿日にコラムとして独立させたものです。
状況は常に変わっていますので必ずしも最新の情報を掲載しているとは限りません。

金川 修造
MARU By Tokyo Business Clinic 院長
山形大学医学部卒業。
小児科としてキャリアをスタート。
国際医療支援に従事した後、2003年に開設された国立国際医療研究センタートラベルクリニックの立ち上げに関わり、医長として長く海外渡航者の診療にあたった後、現在は東京ビジネスクリニックに勤務。
日本検疫衛生協会理事、日本渡航医学会評議員

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