誰でもかかる、帯状疱疹(たいじょうほうしん)の話

ワクチンで予防できる病気の一つに、帯状疱疹(たいじょうほうしん)があります。
今回は、帯状疱疹とはどのような病気なのかについて簡単に説明するとともに、帯状疱疹ワクチン(特に20201月に承認されたシングリックス)について、効果や費用、自治体からの助成金制度などについてわかりやすく解説していきます。

帯状疱疹とは?

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(Varicella Zoster)と呼ばれるウイルスに感染することで引き起こされます。水痘・帯状疱疹ウイルスは水疱瘡(みずぼうそう=水痘)の原因となるウイルスです。

子どもの頃に水ぼうそうにかかると、症状は治ってもウイルスは完全に体内からなくならず、神経節(神経繊維の節目)の中に潜んで休眠状態で残存します。
大人になり、疲れやストレス、体力の低下や病気などで免疫力が落ちた時に、そのウイルスが目を覚まし、帯状疱疹として発症するのです。
帯状疱疹が起こる確率は50歳から増加し、80歳までに3人に1人が発症すると言われています。

なお、水ぼうそうは成人でもかかることはあり、無症状での感染も含めると、日本人は国民のほぼ全員が生涯で罹患する(もしくは抗体価を獲得する)ウイルスだとされています。

帯状疱疹の症状

帯状疱疹の主な症状は、小さな水ぶくれ(水疱:すいほう)と発疹(ほっしん)です。水疱ができる23日前から、肋骨に沿った神経(肋間神経)や顔の神経(三叉神経)に沿ってかゆみや違和感、ピリピリとした痛みなどが現れます。そこに水疱や発疹ができ、1週間ほどで破れて皮膚がただれたようになります。時には、発熱や頭痛などの症状が同時に出ることがあります。およそ20%くらいの方は、水疱や発疹などの症状が治った後に痛みが残ります。これを帯状疱疹後神経痛と呼びます。痛みは個人差がありますが、眠れないほどの痛みが残る方もいます。

帯状疱疹とヘルペスの違い

ヘルペス(単純ヘルペス・単純疱疹)は、同じように小さな水ぶくれができる病気ですが、原因となるウイルスと水ぶくれができる体の部位が異なります。
ヘルペスの原因となるウイルスは、単純ヘルペスウイルスです。
ヘルペスは身体のどこにでもできるものが、多いのは口の周り、特に唇(口唇ヘルペス)や口の中(ヘルペス性歯肉口内炎)です。
性器(性器ヘルペス)、顔(顔面ヘルペス)などです。

帯状疱疹とヘルペスは見た目の発疹は似ていますが、原因が異なりますので、治療や予防ワクチンは異なるため注意が必要です。

帯状疱疹ワクチン

帯状疱疹ワクチンは、帯状疱疹を予防するためのワクチンです。帯状疱疹ワクチンは、帯状疱疹ウイルスの弱毒化したウイルスを使って作られています。ワクチンを接種することで、免疫系がこのウイルスに対する防御力を身につけます。これにより、帯状疱疹のリスクを減らすことができます。

帯状疱疹ワクチンの対象者

帯状疱疹ワクチンは、50歳以上の成人に推奨されますが、49歳以下でも接種は可能です(日本では未承認)。免疫力が低下するような持病がある18歳以上の方などの場合も、接種が勧められることがあります。

帯状疱疹ワクチンの効果

ワクチン接種後、帯状疱疹ワクチンは100%の効果を保証するものではありませんが、帯状疱疹にかかるリスクが大幅に減少するデータが得られています。また仮に帯状疱疹を発症してしまっても、ワクチンを接種していると症状が軽く済むこと、また帯状疱疹後神経痛の発症も少なくなることが報告されています。

日本で接種できる帯状疱疹ワクチンの種類について、シングリックス

名称

(ワクチン製造メーカー)

乾燥弱毒生水痘ワクチン ビケン

(阪大微研)

乾燥組換え帯状疱疹ワクチン

シングリックス(GSK)

種類 生ワクチン 不活化ワクチン
対象 50歳以上 50歳以上
接種回数 1回 2回
費用 1万円程度 4万程度(2回で)
接種方法 皮下注射 筋肉注射
発症予防効果 69.8% 96.6%
持続性 5年程度 9年以上

引用:東京都福祉保健局 帯状疱疹と帯状疱疹ワクチンについてhttps://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/taijouhoushin.html

20234月現在、日本で接種できる帯状疱疹の予防のためのワクチンは2種類あります。従来より水ぼうそうの予防のために用いられてきた水ぼうそうワクチン(乾燥弱毒生水痘ワクチン)と、20201月より新たに使用が開始されたシングリックス(乾燥組換え帯状疱疹ワクチン)です。

シングリックス(Shingrix)とはどんなワクチン?

シングリックスは、日本では20201月より使用できるようになった新しい帯状疱疹ワクチンです。生ワクチンではないので、免疫機能が低下した人(造血幹細胞移植を受けた方、ステロイド剤や免疫抑制剤を内服中の方など)でも接種が可能です。
帯状疱疹の予防効果は、50歳以上の方で97.2%、70歳以上の方で89.8%と報告されています。従来のワクチンの予防効果は51.3%ですので、比べてみても非常に効果が高いことがわかります。これらの効果は10年以上持続することが分かっています。また、帯状疱疹後神経痛に対する予防効果も88.8%と非常に高いことが特徴です。
シングリックスは、2ヶ月あけて2回(最大6ヶ月以内)の接種が必要となります。

帯状疱疹ワクチンの副作用

帯状疱疹ワクチンは、一般的には安全なワクチンですが、接種後に副作用が現れることがあります。一般的に、副作用は軽度で、数日から1週間程度で消えます。
よく報告される副作用には、接種部位の痛み、腫れ、発赤、かゆみがあります。また、発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、関節痛などの症状が現れることもあります。
帯状疱疹ワクチンによる重篤な副作用は非常にまれですが、ショックやアナフィラキシーなどの重いアレルギー反応が起こることが報告されています。

帯状疱疹ワクチンの費用

日本においては、帯状疱疹ワクチンは、定期接種の対象ではなく、自由診療として扱われています。そのため、費用は医療機関によって異なります。
一般的に、シングリックス1回あたりの費用は、約2万円から3万円程度です。

当院では119,500円(税込21,450円)となっています。
一見高額なように見えますが、帯状疱疹ワクチンの予防接種に補助金や助成金を出している自治体が多く、実際の自己負担はこれよりも軽くなることがほとんどです(以下に具体例を記載)。

帯状疱疹ワクチンに対する助成金について

自治体によって異なりますが、一部自治体では接種に助成金が出ることがあります。例えば東京都千代田区に住民登録のある50歳以上の方は、シングリックスの接種に対し、1回当たり11,000円の費用補助を受けることができます。助成の条件は自治体によって異なりますので、受診の前にお住まいの自治体にお問い合わせください。

50歳になったらシングリックスの接種を

以上、帯状疱疹ワクチン(シングリックス)についての基本的な事項を簡単にまとめました。2回の接種で、現時点では10年以上は予防効果の持続することが分かっている効き目の高いワクチンです。国や自治体でも、50歳になったらシングリックスを接種することが推奨されています。ご興味のある方は、お気軽に当院までお問い合わせください。

帯状疱疹ワクチン接種について 詳しくはこちら

(参考URL)

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000207078.pdf

https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/herpes_zoster/

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/taijouhoushin.html

https://www.niid.go.jp/niid/ja/varicella-m/varicella-iasrtpc/8223-462t.html

https://www.dermatol.or.jp/qa/qa5/index.html

2023.04.11作成

内藤 祥
医療法人社団クリノヴェイション 理事長
専門は総合診療
離島で唯一の医師として働いた経験を元に2016年に東京ビジネスクリニックを開院。
日本渡航医学会 専門医療職

 

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