オミクロンBA.2とは何?変異株と亜系統はどう違うの?

2021年12月末よりオミクロン株の流行が始まり、第6波として2022年2月中旬に全国で10万人以上の感染者を記録しピークを迎えました。その後、第5波のように急速に感染者が減っていくかと思いきや、3月はほぼ横ばい、4月に入り感染者は徐々に減ってきているもののまだ高止まりしている状況です。

なぜオミクロン株ではピークを迎えた後に感染者がなかなか減らないのでしょうか。その理由として、BA.2の存在が考えられています。

BA.2とは?

オミクロン株とは、コロナウイルスの従来型とも、当時世界の感染者のほとんどを占めていたデルタ株とも、一部の遺伝子配列が異なる変異株のことを指します。非常に感染力が強く、世界中であっという間にデルタ株からオミクロン株への置き換わりが進みました。まだ世界で初めて確認されてから半年程度ですが、その間に何千万人もの感染を繰り返す中で、オミクロン株の遺伝子はすでにいくつもの突然変異を起こし、より人への感染がしやすい形に進化を続けています。このような遺伝子の変異により全く別の性質を持つようになった新しいウイルス株を変異株と呼んでいますが、一方で同じウイルス型や株分類の中での遺伝子配列が異なるものを亜系統と呼んでいます。コロナウイルスの変異株であるオミクロン株には、2022年初頭ですでに小さな遺伝子変異を持った4種類の亜系統があることが分かっており、その後も新たな亜系統の報告が続いています。

亜系統の種類として、オミクロン株の流行初期の系統がBA.1、さらにBA.1-1BA.2が報告されており、2022年4月末現在ではさらにBA.3BA.4BA.5等の亜系統がすでに確認されています。中にはデルタ株とオミクロン株の両方の遺伝子の変異型を持ったXEXRなどと呼ばれるウイルスも見つかっています(組み替え体と呼ばれます)。

変異株については以下の記事で詳しく説明しています。

BA.2の特徴

さて、BA.2はオミクロン株の亜系統の一種であることを説明しましたが、改めてその特徴挙げてみます。BA.2はBA.1よりも感染力が2割ほど強いとされています。 ただワクチンによる予防効果はBA.1とBA.2とで差はありませんので、感染予防対策に違いはありません。また感染した場合の症状については、喉の痛みが強く出やすいことが特徴とされていますが、熱が出ないことも多く非常に軽い症状のみで済むことも、BA.1とBA.2で変わりがありません。発症までの時間がBA.1よりも更に短いとされ潜伏期間は実に半日程度であり、感染者と接触してその半日後には発症してしまうという感染成立の速さはオミクロン株の亜系統すべてに共通する際立った特徴と言えます。予防としてのワクチンの有効性や、診断としての抗原検査・PCR検査による感度などに大きな差はありません。ワクチンは2回のみの接種ではほぼ打っていない場合と感染リスクは変わらない状態で、3回打つことで7割から8割の予防効果が得られます。BA.1と同様で重症化する事はほとんどなく、入院率と死亡率ともに極めて低い数値となっています。

BA.4 BA.5の特徴については以下の記事で解説をしています。
あわせてご確認ください。

第6波はなぜなかなか収まらない?

オミクロン株による第6波の大きな波はBA.1によるものでした。波のピークを迎えた後、BA.1は急速に感染力を失い減少していきましたが、3月に入りBA.2が小さな流行を起こして増え続けていたため、見かけ上はオミクロン株の陽性者数(=BA.1+BA.2)が減らずに高止まりしているように感じられているのです。ただそのBA.2も既にBA.1からほぼ全ての置き換わりが完了していますので、5月に入るといよいよ日本の第6波の感染者数は減少傾向に転じることが見込まれます。

まとめ

コロナウイルスの変異株であるオミクロン株には、遺伝子配列の異なるBA.1~5などの亜系統があり、現在の流行の主流はBA.2です。BA.1に比べてより感染力が強く、潜伏期間が短く喉の痛みが強いなどの特徴がありますが、多くの場合は軽症で、重症化や死亡のリスクはすでにインフルエンザの50分の1程度とされています。感染予防にはワクチンの最低3回接種が必要ですので、今私たちがすべきことは自分と家族も含めてワクチンを3回しっかり完了させ、通常の感染対策を徹底することに変わりはありません。

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特徴でも述べましたが潜伏期間が短くなっているので帰省や旅行・イベントの前後に検査で感染していないことを確認するのも感染予防になります。
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内藤 祥
医療法人社団クリノヴェイション 理事長
専門は総合診療
離島で唯一の医師として働いた経験を元に2016年に東京ビジネスクリニックを開院。
日本渡航医学会 専門医療職

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