コロナワクチンって安全?

コロナワクチンが始まり、2021年5月末現在は医療従事者と高齢者への接種が進んでいます。その後は、基礎疾患を有する方へ、最終的には一般の方にも接種を進めていく予定になっています。

今後、コロナワクチンを受けるにあたり、副作用が気になっている方も多いと思います。ここでは、5月21日までに厚生労働省が有効性や安全性が確認されたとして正式に承認が発表された、ファイザーとモデルナの2種類のワクチンの副反応と妊娠中および授乳中の安全性について言及します(内容の全てはCDCもしくは主にファイザーのワクチン添付文書を根拠としています)。

ちなみにアストラゼネカのワクチンについては、有効性が認められる一方で、接種後に極めてまれに血栓 が生じるリスクがあると指摘されていることから、5月21日の時点で予防接種法の対象にせず、当面は公的な接種には使わない方針が示されました。

開発元 ファイザー モデルナ
開発国 米国
接種スケジュール 3週間間隔で2回 4週間間隔で2回
重症化の予防 ともに有効
保存条件 -80℃から-60℃で保存
冷蔵で最大5日間
-25℃から-15℃で保存
冷蔵で最大30日間

主な副反応局所症状:接種部位の腫れ、疼痛、発赤
全身症状:発熱、悪寒、倦怠感稀な副反応アナフィラキシー(約20万人に1人)アナフィラキシー(約35万人に1人)

副反応について

ファイザーとモデルナのワクチンでは、接種間隔やアナフィラキシーの頻度などに違いはあるものの副反応は同程度と考えられています。主な局所症状は接種部位の腫れ、発赤、痛みで、全身症状は発熱、悪寒、倦怠感などがあり、副反応は1回目の接種よりも2回目の接種者に多く、高齢者よりも若年者に多いことが分かっています。

局所症状は接種当日に出現し、約2日間で消失します。全身症状は接種翌日が最多で、持続期間は約1日間です。 総じて、副反応は接種後3日以内に起こり、1日から3日で消退します。ただし、個人差があるので一概に当てはまりません。

また、約20~35万人に1人ほどの頻度(一般的なワクチンの約10倍)でアナフィラキシーが起こることがあり、特に薬剤アレルギーやアナフィラキシーの既往のある方で起こりやすいことが分かっています。

いずれもmRNAワクチンの成分であるポリエチレングリコールが原因と考えられており、特にポリエチレングリコールやその誘導体の薬剤に対してアレルギーのある方は原則として接種できません。ですので、過去に薬剤アレルギーがあった方は、必ず薬剤名について把握しておく必要があります。

妊娠中の接種の安全性について

特にファイザーのワクチンの添付文書では、妊婦又は妊娠している可能性のある女性には予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種することと記載されています。動物試験では、母動物が接種することで動物の赤ちゃんに悪影響は見られませんでした。現在、妊婦さんに対する調査が進行中ですが、妊婦さんが新型コロナウイルスに感染すると、感染していない妊婦さんと比べて重症化する割合や早産等が多いとの報告もあり、妊娠を理由に接種を控える必要はないと考えます。

授乳中の接種の安全性について

同じくファイザーの添付文書では、予防接種上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は 中止を検討することと記載されています。

母乳中への移行について現時点では調べられていません。このワクチン成分の性質から、母乳移行量は非常に少なくなると考えられています。さらに多少のワクチン成分を含んだ母乳を赤ちゃんが飲んだとしても、その性質からは赤ちゃんに悪影響が及ぶとは考えられません。妊娠中と同じく、授乳中のワクチン接種も問題ないと考えます。

ただし、妊娠していない方と同様の副反応が起こりえますので、実際にワクチン接種をするかどうかはかかりつけ医とご相談ください。 なお、ワクチン接種前に妊娠反応を見る必要はありません。避妊の必要もありません。

※この記事の内容は2021/05/21時点での情報です。 状況は常に変わっていますので必ずしも最新の情報を掲載しているとは限りません。

吉川 裕章
グランスタ丸の内院長
近畿大学医学部卒業、プライマリ・ケア連合学会
家庭医認定医・指導医
日本内科学会 認定医
日本皮膚科学会

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